2018.08.15 副業としての不動産投資。「副業禁止」の定義から外れる裏技とは?
公務員の副業は原則として禁止されていますが、それは国家公務員法の第103条と第104条の規定によるものです。第103条では「国家公務員の営利企業への就職や自営」が禁止されています。また、第104条では「非営利企業で報酬を得て働くこと」が禁止されているので、原則副業禁止となっているのです。
前項のように、公務員は原則副業禁止ですが、農業と不動産賃貸業、太陽光発電は、一定の規模で副業可能と決められています。そもそも、これらを禁止としてしまえば、親から不動産を相続したときや農地を相続したときに、即売却するしか選択肢がなくなってしまいます。
事情によっては、保有したい場合もあるでしょうから、これらの事業は例外的に認めているというわけです。もちろん、自分自身が投資用不動産を購入し、賃貸物件として回すことも認められています。ただし、原則として「5室10棟未満」「年間賃料収入500万円以下」という規模です。
なぜなら、5棟10室以上であれば、「自営」に該当する事業規模になるので、人事院に許可を取る必要があるからです。また、5棟10室未満であっても、その不動産が劇場や映画館などの娯楽や遊技施設の場合や、旅館やホテルなどの大規模な施設の場合は自営とみなされます。
事業規模の不動産を保有し、人事院に認められるとしたら、親からの相続など自分の意志ではなく保有するときくらいでしょう。逆にいうと、5棟10室未満、年間賃料収入500万円以下であり、かつ特殊な不動産を保有しない限りは、公務員でも許可なく不動産投資ができるというわけです。
では、現実的に公務員は、人事院に許可を取ることなく不動産投資ができるでしょうか?「5棟10室未満」という条件は、たとえば戸建運営を4棟や、1棟のアパート経営をして、そのアパートが9室以下であれば問題ありません。
このように、不動産投資を大規模に行わない限り、「5棟10室未満」という条件のハードルは比較的低いと言えるでしょう。
では、「年間賃料収入500万円以下」はどうでしょうか。
たとえば、賃貸物件としてマンションを3室購入し、合計取得金額が6,000万円だったとします。
その3室の利回りが8%であれば480万円(6,000万円×8%)の賃料収入になるので、年間賃料収入はクリアです。このように、年間賃料収入に関しても大規模に展開しない限りは問題ないですが、「5棟10室未満」よりは、オーバーする確率は高いので気を付けましょう。
注意点としては、今回の話は国家公務員の話であり、地方公務員は別の話になるという点です。地方公務員の場合でも、概ね国家公務員の決まりに準じているケースが多いですが、地方公務員が従事しているのは国ではなく自治体です。
そのため、自治体によってルールが異なる点には注意しましょう。たとえば、アパート経営や駐車場経営など、不特定多数に賃貸する不動産経営は自営に当たる場合もあるので、地方公務員の方は従事している自治体の規則を確認してみましょう。