2018.11.04 「8」から「10」へ 消費税増税がもたらす不動産投資への影響
まず、増税によって何が起きるかというと、1つは不動産投資に関する費用の増額、そしてもう1つは駆け込み需要による物件数増です。1つ目は後述するのでここでは割愛します。2つ目の「駆け込み需要による物件数増」に関しては、前回の増税時に実際に起こりました。
前回の増税2014年4月に5%から8%へと増税が起こりましたが、その前年の2013年に駆け込み需要が起こったのです。要は、税金が上がる前に物件を購入しようとする人が増えたということです。
そのため、需要は一定などにも関わらず物件数(供給)が増え、供給が増えてしまったので価値が下落しやすい状況になってしまいました。今回も同じ状況になることは十分に考えられます。
さて、次は増税によって不動産投資における支出はどのように変わるかを理解しましょう。具体的には、投資物件自体にかかる費用と、ランニングコストに関する費用の2つに分けられます。
まず、土地には消費税がかかりません。消費税はあくまで「消費するモノやサービス」に課せられる税金であり、土地は消費するものではないからです。一方、建物は時間の経過とともに劣化していくので消費されるものとして課税対象になります。
過去の事例を見ると、2014年の4月1日に消費税が5%から8%に引き上げられたときは時限措置が取られました。というのも、不動産は建築してから引き渡しまで期間があるからです。
そのため、前年(2013年)の9月末までに建築工事の契約をしていれば、不動産の引き渡しが2014年4月1日以降でも消費税は5%のまま据え置かれたというわけです。仮に、今回も同じ措置が取られれば、2019年3月末までの契約には経過措置が適用されることになります。
この辺りは、アパートやマンションなどの一棟投資を検討しており、自ら建築することを考えている人に重要な問題です。政府が発信する情報を逐一チェックしておきましょう。
次に、ランニングコストを見ていきましょう。まず、前提として家賃は非課税ですが、事務所や駐車場は課税対象となるので注意しましょう。また、以下のランニングコストは課税されています。
・アパートの管理維持費
・共用部分の電気代など
・リフォームやリノベーション費用(修繕費含む)
・水回りなどに設備投資費
・大規模修繕や建て替え
特に、リノベーションやリフォーム、設備投資費用は高額になりがちで、かつ少なからずどの物件にも発生するので注意しましょう。
2度の延期を経て安倍政権が実施を明言した2019年10月の増税ですが、また変更になる可能性はゼロではありません。むしろ、インフレ誘導が予定通りいっていない中で、「景気に水を差す」という理由で延期派も根強く存在します。
不動産投資は収支バランスが大切です。収入(家賃)の方は消費増税の影響はありませんが、支出の方はもろもろ上昇していきます。現在不動産投資をしている人はランニングコストの増額、これから物件を購入しようとしている人はランニングコストだけでなく物件価格の増額も重要な問題です。
消費増税を見越した支出を計算して計画を立てておくことは必要不可欠です。その計画の精度が、不動産投資の成功を左右すると言っても良いでしょう。