個人の不動産投資の無力さ
いきなり辛辣なことを言いますが、個人の投資家は無力です。個人投資家を名乗るなら、まずこのことを認識しておくべきでしょう。なぜ無力かというと、プロの投資家集団であるファンドや機関投資家などと比べると、個人投資家は情報・資金・組織力が圧倒的に負けているからです。
個人が得られる情報と不動産ファンドが得られる情報は違います。そして、投下できる資金もまさに桁違いであり、投資に割ける人員も異なります。そうなると、個人投資家は強者に負け、個人投資家が投下した資金は強者の養分となり、その養分を元に強者はさらに儲けていくのです。
またまた辛辣な言葉になりますが、投資に負けると必死に働いたお金は消えます。月5万円ずつ貯金して10年間でやっと600万円貯めて投資しても、一瞬で消えることがあるのが投資です。そんなことにならないよう、まずは個人投資家が無力であることを認識することが大切なのです。
希望は捨てるな
とはいっても、個人投資家が全員負けて、不動産ファンドや機関投資家が全員勝っているわけではありません。もしそういう構図であれば、世の中に個人投資家は存在しないでしょう。そのため、個人投資家は無力とは言いましたが、希望を捨てる必要はありません。
もちろん楽に稼げるわけではありませんが、不動産投資は大きく失敗する投資ではないのです。少なくとも、600万円投資して、一瞬にして600万円が消えてしまうようなことは極めて少ないでしょう。なぜかというと、読んで字のごとく、不動産とは「不動」のものであるからです。
つまり、物理的に存在する実物資産であり、その実物資産が消滅しない限りは資産がゼロにならないのです。たとえばFXで考えてみましょう。仮に、10倍のレバレッジをかけて円でドルを購入したとします。そして、ドルを購入後に大きく円高になれば、一瞬で投下した資産が消えるリスクがあります。
一方、不動産は建物が壊れても補修できますし、土地を持っていれば半永久的に残ります。空室時の収益はゼロになりますが、また空室を改善する策を講じれば良いのです。不動産会社はコンビニの2倍以上いると言われており、そんなプロからのアドバイスを受けられるのも不動産投資の良いところです。
弱者が強者を負かすには何をするべきなのか。
さて、そんな不動産投資で強者の養分にならないためには、自分の強みを知ることが大事です。強みとは「時間」であり、個人投資家は自分の時間で勝負できます。分かりやすく、「強者」と言われる不動産ファンドを例にとりましょう。
不動産ファンドは、投資家達からお金を集め、そのお金で不動産を購入します。そして、その不動産収益から自社の儲けや経費を差し引き、投資家に還元するのが仕事です。つまり、限られた時間内に「お金を集める」「物件を選ぶ」「交渉する」「決済する」必要があるのです。
彼らにはノルマが課せられており、そのノルマには必ず期限があります。そのため、自分の時間で投資することはできず、常に会社から与えられている期限内に投資をしなければなりません。そうなると、買いたくないタイミング・売りたくないタイミングで売買することもあり、儲けにつながらない時期もあります。
一方、個人投資家はあくまで自分の時間で投資できるので、物件をじっくり選定し、機会をじっと待つことが可能です。個人投資家が強者の養分にならないためには、この「時間」を存分に活用しましょう。