2018.09.05 「重要事項に係る調査報告書」を巡る「管理会社を見る目」の話
投資用物件を購入した後に後悔しないために、以下の書類をチェックしましょう。
・貸借条件一覧表(レントロール)
・重要事項に係る調査報告書
レントロールには、その物件の入居者情報が書かれています。この情報は、入居者がきちんと賃料の支払いを行っているかをチェックする大事な資料であり、チェックしないと問題のある入居者が住んでいる物件を買ってしまいかねません。
重要事項に係る調査報告書の詳細は後述します。とにかく、この2つの書類は収益性の高い物件選びには必須であり、管理会社の誠実さを測ることもできる重要な書類なのです。
前項で解説した重要事項に関わる調査報告書には、以下の内容が記載されています。
・調査依頼日
・対象となる物件名や部屋番号、所在地、建築年次
・修繕積立金総額
・管理費、修繕積立金の月額
・管理費、修繕積立金の滞納額
・管理費、修繕積立金の改定予定
・管理組合の借入金の有無
・修繕工事履歴
・管理形態
・大規模修繕改修工事に関する予定
・アスベストや耐震診断の有無など
このように、マンションの管理や修繕についての詳細が記載されています。これらの詳細を知らずに物件を購入するということは、物件購入後の「支出の増額リスク」を加味していないということです。
さて、重要事項に係る調査報告書に記載してある事項で、特に気を付けるべきポイントは以下の点です。
・修繕積立金総額
・管理費、修繕積立金滞納額
・修繕工事履歴
・管理形態
まず、修繕積立金総額とは、マンション全体で積み立てている修繕費の総額です。マンションは大規模修繕計画を策定しており、将来の修繕費が決まっています。その金額を満たしていないのであれば、将来的に補修がされずに資産価値が落ちるリスクがあるということです。
また、管理費・修繕積立金滞納額がある状態で引渡しを受けると、買主がその滞納額を請け負うことになるので注意しましょう。そもそも滞納が頻繁にある場合には、管理に問題があるケースが多いです。
修繕工事履歴とは、マンションの修繕がいつ行われたかの日付が記載されています。特に大規模修繕はマンションの資産価値を保つうえで重要なので確認しておきましょう。大規模修繕が既に終わっていれば、そのマンションの外観はしばらく変わりません。逆に数年後に控えていれば、修繕金が足りているかのチェックを入念に行うべきです。
最後の管理形態とは、自主管理なのか、管理会社に任せているかが記載されています。一般的には管理会社に任せている場合が多いですが、自主管理であれば注意が必要です。マンションの入居者が自主的に管理しているので、積立金がきちんと徴収されていなかったり、理事長の負担が大きかったりするからです。マンション投資の初心者は管理会社に委託しているマンションの方が無難と言えるでしょう。
重要事項に係わる調査報告書は管理会社が発行しており、発行するには数千円程度の手数料がかかります。一般的には、仲介する不動産会社が発行しますが、正当な理由なく発行を渋る管理会社は怪しいです。
なぜなら、渋るということは内容が悪かったり、ずさんな管理になっていたりする可能性があるからです。このように、重要事項に係る調査報告書は物件の良し悪しをチェックする材料としても利用できますが、管理会社の信頼性を見極める材料としても使えます。