不動産を購入する際の頭金とは?
昨今、不動産投資の世界では「頭金0」などの言葉が頻繁に見受けられます。皆さんも、ネット広告やCMで「頭金0」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか?
この言葉を見ると、まるで投資が簡単に始められるような誘い文句ですが、そもそも頭金とは何か?を理解していないと、頭金0のメリットもデメリットも分かりません。冒頭でいったように、不動産投資において融資は必須であり、その融資に深く関連する「頭金」はぜひ知っておいて欲しいです。
借り手と銀行、それぞれから見た「頭金の持つ価値」
さて、本題である頭金についてですが、頭金の重要性は「借り手」と「銀行」という2つの視点からみると分かりやすいです。
借り手から見る頭金
借り手の視点から見ると「頭金を入れること」は以下と同義です。
・自己資金を減らすこと
・利息を減らすこと
仮に、3,000万円の物件を借りたときに頭金を300万円入れたとします。その場合、自己資金は300万円減っていますが、借入金も300万円減っています。借入には利息がかかっているので、借入金を減らすということは、利息を減らすということなのです。
つまり、頭金を入れることで自己資金は減っていますが、将来的に支払う利息も減っています。頭金をいくら出すかは、「自己資金が減るVS利息が減る」を天秤にかけて判断しなければいけません。
「頭金0」だと、自己資金が減ることはありませんが、利息が増えるという点を許容した形です。そのため、頭金を0にするということは決してメリットだけではないのです。
銀行から見る頭金
さて、ここで銀行側の視点に立ってみましょう。銀行はどのように利益を上げているかというと、お金を貸して返済してもらい、その返済金額に利息を含めることで利益を上げています。そのため、銀行としてはたくさんの金額を融資した方が利益は増えるということです。
一方、貸しすぎることによる「貸し倒れ」は銀行にとって大きなリスクなので、たくさんの金額を融資したいものの、貸し倒れしないラインを見極めなければいけません。そんなとき、頭金は「一定額の資金は手元にある」という証左になるなので、銀行側からすると安心材料になるのです。
要は、「この人は順調に返済してくれるだろう」という安心感が頭金というわけです。言い換えると、頭金が多いほど銀行は信頼してくれるので、銀行のローン審査に通りやすいです。
そのため、前項を加味すると「自己資金が減るVS利息が減る」に「ローンに通りやすい」を加味して、頭金額を決めなければいけません。
これから不動産投資を始めるならば
さて、繰り返しますが、不動産投資を始めるにあたって、銀行の融資を受けるのはほぼ必須です。融資を受けることで「自己資金以上の資産を手に入れる」という点は、不動産投資の大きなメリットです。そのため、むしろ融資は積極的に利用するべきともいえます。
頭金0というのは確かに聞こえが良いですが、利息が増えローンに通りにくくなります。もちろん、ローン審査は頭金額だけでなく勤務先・勤続年数・年齢・資産構成などを見て総合的に判断しますので、「頭金が0だからローン審査は難しいのでは?」と悲観しすぎることはありません。
フルローンと呼ばれる、物件金額の全額を融資するローンも存在するので、頭金0はそこまで珍しくないのも事実です。大事なのは、頭金額によって何がメリット・デメリットかを知ることです。それを理解した上で、金額を吟味しましょう。