2018.11.22 物件価格に惑わされるな!不動産の本当の価値を把握する重要性
はじめに言っておくと、不動産価値は物件価格とイコールではありません。投資用物件を購入するときには物件価格をチェックすると思いますが、その価格が本来の不動産価値を反映していないケースは意外とよくあるものです。当然ながら、不動産投資家はできるだけ良い物件を安い値段で手に入れようとするものです。その背景には「初期費用を抑えたい」という思惑だけではなく、「融資を引き出したい」という考えもあると言えるでしょう。
しかし、そもそも「安い」という判断はどのように行うのでしょうか?それは、不動産を2つの方法で評価し不動産本来の価値を算出して、その価格と物件価格を比べることです。次項では、その2つの評価方法を解説していきます。
不動産価値を評価する方法は、銀行が不動産を評価する方法である「積算評価」と「収益還元評価」の2つがあります。
積算評価とは、その土地の価値、そして建物そのものの価値を総合して算出する方法です。
計算式としては以下の通りです。
・土地評価=土地面積×路線価
・建物評価=再調達価額☓延床面積☓残価率(残耐用年数÷耐用年数)
路線価は、路線価図※で調べることが可能です。ただ、角地補正など難しい要素がある土地は、算出を不動産会社に任せた方が良いでしょう。
また、建物の計算式にある再調達価格とは銀行が独自に規定しており、多くの銀行が採用しているのが以下です。
・鉄筋コンクリート(RC)造・・・20万円/㎡
・鉄骨(S)造・・・18万円/㎡
・木造・・・15万円/㎡
また、耐用年数は鉄筋コンクリート(RC)造で47年、鉄骨(S)造で34年、木造で22年と決まっています。
収益還元評価にはさらに二つの方法が存在します。
・直接還元法
・DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)
直接還元法は「純利益/還元利回り=物件価格」で示されます。
たとえば、年間家賃収入140万円、諸経費は25万円、還元利回りが5.5%の物件の収益価格を上記の計算式に当てはめると・・・
収益価格2,090万円=(140万円—25万円)÷5.5%
これは、自分が得たい還元利回りから物件価格を逆算するという方法です。つまり、検討している物件が上記以上の価格であれば、自分が期待している利回りは得られないので「割高」となります。
一方、DCF法は、簡単にいうと将来得られる利益を加味して算出するという方法です。将来を予測して価格を算出する点は、収益還元法よりも精度は上といえるでしょう。
大事なのは、両方の金額を見比べることです。DCF法は今後発生する諸経費や、一定期間が終了したときの売却価格も加味しています。つまり、DCF法と収益還元法で算出した価格がかけ離れている場合は、「今後の諸経費」「将来的な売却価格」が極めて高いか安いかのどちらかということです。
そのときは、DCF法を利用して算出している不動産会社に内訳をヒアリングしましょう。「諸経費の推移と将来の売却金額を根拠と一緒に教えてください」といえば、分かりやすく説明してくれるでしょう。その根拠で判断することをおすすめします。
上述した計算式を用いて、検討している不動産の価値を把握しましょう。そうすれば、真に割安な物件が見えてきますし、どんどん目が肥えてきます。また、銀行から「どのような評価を受けるか?」が分かってくる点もメリットです。
銀行は最悪の事態が起きても資金を回収できるようにするため、上述の評価で出た金額にさらに数値を掛けて低くすることが多いです。この結果、物件評価の7割〜8割の値になると言われています。その点を加味しながら、自分の物件は担保価値が高いか?も意識しておきましょう。
それが融資を引っ張ることにつながり、結果的に不動産投資の成功につながっていきます。