不動産投資に「損切り」はあるか?
いきなりですが、「損切り」という言葉をご存知でしょうか?
損切りは主に株式投資やFX投資で使われる言葉であり、「保有している株が下がり、今売ると赤字だけでこれ以上損失を拡大させないために売却する」という意味です。要は、損をするのは分かっているけど「売却」という選択肢を取ることを損切りといいます。
単身者の選択肢はマンションの賃貸物件
まず、単身者が居住地を選ぶときは、マンションの賃貸物件がメインになります。たとえば、ファミリー層であれば「戸建」をという選択肢が増え、さらに戸建もマンションも「購入する」という選択肢も増えます。
一方、単身者の中で「戸建」を選ぶ人は少ないですし、ファミリー層ほど「購入」を選ぶ人も少ないと考えられます。つまり、競合物件が少ないので単身者をターゲットにするワンルーム投資は需要が高いのです。
損切りの例
たとえば、株価500円で1,000株(50万円分)購入したとします。その後、何かの事情で株価が450円に下がり、トータルでは5万円の損害になっていたとします。このときの選択肢は3つです。1つ目は株価が上がるまで待つこと。2つ目は450円の状態で株を取得し、平均取得単価を下げること。
そして3つ目に、更なる下落するというリスクヘッジのため、5万円損するのを覚悟で450円の状態で損切りすることです。損切りすることで今後のさらなる損失を防ぐことができますし、次に別の銘柄を購入する資金にもなります。
不動産投資では?
さて、そんな損切りは不動産投資でもできるのでしょうか?結論からいうと、かなりの痛みを伴いますが可能です。
たとえば、あなたが以下のような物件を運用していたとします。
・入居者がつかずに収益が全然あがらない物件
・当初の想定家賃を引き下げざるを得ずCFが赤字の物件
このような状態が続けば収益は赤字が続き、不動産投資をしている意味がないです。むしろ、不動産を保有していることで、手持ち資金がどんどんマイナスになっている最悪の状況といえるでしょう。
そのため、「売却する」という選択肢はあり得ますが、そもそも現状入居者がつかない物件なので、買値よりも大幅な安値で売ることになる可能性は極めて高いです。
そうなると、売却してもローンの残債を払いきれない可能性もあり、結果として借金が残るというケースもあります。まさにこれが「損切り」の状況といえるでしょう。ただ、言い方は悪いですが、この状況になればゲームオーバーとなり、投資の世界からしばらく退場せざるを得ません。
不動産投資の損切りは、株式売買の損切りとは桁違いの損失額になるので、「損切りしない物件選び」がいかに重要か分かると思います。
高い勉強料だが希望は捨てるな。負けを認める売却で2棟目へ
仮に、現在運用に失敗している物件の売却に成功した場合の話です。売却したことでローンも完済でき、一定額の預貯金を残せた場合には、1棟目の失敗から切り替えて、新たに2棟目の選定に移ることが可能です。1棟目で失敗した分、同じ失敗を繰り返さないためにノウハウは蓄積されているはずです。
また、もともと不動産投資は10年20年スパンという長期的な投資になります。そのため、仮に1棟目の投資でトータル300万円の損失を出したとしても、長い目で見ればそのくらいの損失額は十分回収可能といえるでしょう。
仮に、2棟目の物件が運用に成功し、キャッシュフロー(手元に残るお金)が毎年60万円あったとします。これは毎月5万円黒字になれば達成できるので、現実的なキャッシュフローです。そうなれば、300万円の損失は5年で回収でき、その後は不動産投資のトータル収支で黒字転換できます。